一粒で何度も美味しい?(Inverted Angel 感想)
「Inverted Angel」というゲームをプレイした。
※クリティカルなネタバレはできるだけ避けるようにするけど、気になる人はプレイしてから読んでね
どんなゲーム?
ジャンルはADV。主人公の前に現れた恋人を自称する女性とインターフォン越しに会話するゲーム。
特徴としてはまず一つ。質問された内容をテキストで入力し、それをAIで判定・分析するってところ。このゲームに興味を惹かれた理由の一つだった。
もう一つ。入力に応じて内容が変化するところ。作中のワードを引用すると、「意思は行動を決め、意味は関係性の全体像として浮かび上がる」。
例えば、「彼女は自分を殺しに来た見ず知らずのストーカーだ」と思いながら進めた場合、その意思を汲んだ話になる。勿論、全て思った通りになるって話ではない。意味は関係性の全体像なので。
良かったところ
様々な要素がこれでもかと詰め込まれていて、かつそれらのオチをしっかりと付けられている。
推理ゲーとしても面白く、哲学やら思考実験やら難しいことを考えるターンも面白い。かといって難しい内容だけじゃなく、「言葉にできることは考えていることのひとかけら」とか、培養肉にまつわる倫理観の話まで。
ここまで多方面に手を広げつつ、それぞれの話に綺麗にオチを付けられていたところが気持ち良かった。
「彼女」についてもそうで、選んだ選択肢によって善にも悪にも、利にも害にもなる。
まさに一粒で何度もおいしいゲームだった。
あとは何といっても、セリフ回しが好みだった。小難しくはあるんだけど、綺麗な言葉選びが印象に残っている。
「Chocolate Hideout」ってエンディングが一番綺麗で好きだった。
残念だったところ
AI入力の精度は若干気になるところではあった。大体の意図は汲み取ってくれていたと思うんだけど、
例えば某場面で「~を思い出せない」って入力しなくちゃいけないところを、「記憶障害が発生している」が発生しているとか入力しても通らなかったり、
若干融通が効かない感じはある。(この物語上の文脈では「~を思い出せない」が正解ではあるんだけど)
それに関連する話で、(BAD含む)エンディングの回収が少し難しかった。
ENDING LISTも用意されているので、どの方向性で進めると見れるよ~。ぐらいのヒントがあったらいいのになーって思った。
あとがき
AIの精度回りで気になるところはあったけど、基本的に非常に面白かった。
最近は海外産のインディーズのゲームよくやってたけど、哲学とかの小難しい話をここまで綺麗にまとめられるのは日本産ならではなのかなーとか思った。